【レポート】 2020年東京五輪、文化プログラムに向け始動

2014年02月28日 08:30 カテゴリ:最新のニュース

 

ロンドンより関係者3氏を迎え、「2012年ロンドンオリンピック・パラリンピック競技大会の文化プログラムに関する情報連絡会~2020年に向けて~」が開催される

 

2020年東京五輪に向け、文化庁、観光庁及びブリティッシュ・カウンシルが共催し、「2012年ロンドンオリンピック・パラリンピック競技大会の文化プログラムに関する情報連絡会~2020年に向けて~」が2月13日、霞が関・中央合同庁舎第2号館地下2階講堂にて開かれた。12年ロンドン五輪の文化プログラム担当者3氏からの活動報告が主な内容となり、文化プログラムが観光や地域振興に大きな波及効果をもたらしたことなどが述べられた。

 

ロンドン五輪文化プログラムの中心的役割を担った3氏。左からモイラ・シンクレア氏、ルース・マッケンジー氏、ジャスティーン・サイモンズ氏

昨年11月20日に締結された「文化庁及び観光庁の包括的連携協定」の一環として、2020年東京五輪での文化プログラム推進にあたり、12年ロンドン五輪文化プログラムの中心的役割を担ったルース・マッケンジー、モイラ・シンクレア、ジャスティーン・サイモンズの女性3氏を招き、情報連絡会が催された。会場には300名超の文化政策、観光関係者、行政関係者が集まり、ロンドンの事例に耳を傾けた。

 

 

 

 

講演に先立ち久保成人(しげと)観光庁長官は、「13年訪日外国人旅行者が初の1千万人を達成。総理より東京五輪を追い風に20年に2千万人を目指すよう指示があった。観光庁は引き続き観光立国に向けて尽力する」と挨拶した。

 

最初に「ロンドン2012カルチュラル・オリンピアード」※のディレクターであり、2万5千人のアーティスト、2千万人超の観客が参加した「ロンドン2012フェスティバル」でキュレーターを務めたルース・マッケンジー氏は、「文化こそ英国が世界にその素晴らしさを伝える手段であると感じ、ポップアーティスト、映像作家、コメディアン、パフォーマーなど全てのアーティストを対象に英国の多様性を示そうと考えた。優れた英国のアーティストを集めて世界にアピールし、さらに他国から招待することも重要だ」等と述べ、障害を持つアーティストのプログラム紹介も行なわれた。

 

3氏の報告の中で多彩な文化プログラムがスライドや映像で紹介された

次に、地域で助成を受ける322のアート団体の活動や運営状況を総括し、また五輪の成果を今後に繋げるレガシープログラムを担当するアーツ・カウンシル・イングランド、エグゼクティブ・ディレクター(ロンドン及び南東地域担当)のモイラ・シンクレア氏は、「20年の東京はどんなメッセージを発信するのか、最初から明確なビジョンを打ち立て、文化プログラムの統一的ブランドを確立することが大切。それにはリーダーシップが重要だ。

 

 

英国での開催の際には、アーツ・カウンシル・イングランドは、偉大なアートを全ての人に提供したい、生活を豊かにする芸術体験を提供していきたい、というミッションを掲げているため、若い人の参加、アーティストの紹介、資金援助者との協力促進という3つの目標を掲げた。そしてプログラムに一貫したテーマは、創造性、品質、革新性。特に英国が個性を出し世界を引っ張っていく革新性を披露したいと考えた」。

 

最後に、「ロンドン2012フェスティバル」アソシエイト・クリエイティブ・プロデューサーを担ったロンドン市文化部長のジャスティーン・サイモンズ氏は、「ロンドンの国際的ポジションを高めるため、その中心に文化を据えたかった。そして全員が参加できるよう無料のフェスティバルを心掛けた(80パーセントが無料)。それは政府主導でなく、アーティスティック・ディレクターが率いることを目指した。文化と創造性、現代と遺産を合わせたプロジェクト等を催した。その結果、ロンドンへの観光客は11年1千530万人、五輪年の12年1千550万人、そして13年は約12パーセント増の1千7百万人(新記録)に増加した。また、その90パーセントがロンドンへの印象が向上したとあり、英国の総合的な国家ブランドランキングは5位から4位へと上昇した」等と話した。

 

3氏の講演を受け、青柳正規文化庁長官は、「この後さらに情報交換をし、東京五輪に向けた文化プログラムを作り上げていきたい」と述べた。

 

ロンドンからの3氏の貴重な報告を受け、迅速に、質の高い、日本の国際的価値を高めるような文化プログラムの推進を行なってもらいたい。

 

 

※「ロンドン2012カルチュラル・オリンピアード」=ロンドン五輪4年前の08年より大規模な文化プログラムが英国全土で展開、約18万の文化イベントに4千3百万人が参加。その集大成として「ロンドン2012フェスティバル」が五輪会期を含めた前後の3カ月にわたり開催され、約3万4千の文化イベントに2千万人超が参加した。資金総額は約1億2千6百万ポンド(1ポンド170円換算で約214億円)。

 

「新美術新聞」2014年3月1日号(第1337号)3面より

 


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