【海外】 新ホイットニー美術館、防水対策に約20億円

2013年08月31日 15:16 カテゴリ:最新のニュース

 

2015年の開館に向けて現在工事が進められている米 ホイットニー美術館の新館が、2012年のハリケーン・サンディの被害を受け、防水対策費として新たに約20億円を計上したことが分かった。

 

イタリアを代表する建築家レンゾ・ピアノ氏の設計による新ホイットニー美術館は、NYの新名所であるハイラインの南端、ハドソン川の流れを間近にのぞむ一角にて2011年5月に着工、建設が進められてきた。総面積20万スクエアフィート、9階建ての美術館では、米国における近現代美術や先住民にまつわるコレクションが展示されるほか、屋外エキシビジョンスペースや資料室、映像シアター、レストラン&カフェを備えるなど、新しい形のアートスペースとして大きな注目を集めている。

 

本紙毎月1日号で「現在通信 From NEW YORK」を連載中の富井玲子氏は、2012年12月1日号の『「サンディ」以後』において「地球温暖化の影響で今後サンディ級の水害が珍しくなくなるとすれば、立地条件に始まって、アート・ビジネスの見直しも要請されることになる。そうなると心配なのは、2015年に完成予定の新しいホイットニー美術館。(中略)市の避難地図ではゾーンBだが、ハドソン川からはほんの1ブロックの場所だ。防災対策の徹底的な見直しなど、これからどういうふうに動いていくのか注目される」と書いているが、実際にハリケーン・サンディ襲来時、当時建設が始まったばかりの同館では地下スペースがおよそ9m浸水するなど大きな被害を受けており、これを契機にプロジェクトにおける防水対策の見直しが行われた。

 

6月に行われた新館の初披露ツアーにおいて、同館ディレクターのアダム・D・ワインバーグ(Adam D. Weinberg)氏は「新しいホイットニーは、アメリカンアートの聖地、そして優れた暴風雨対策のモデルになるだろう」と述べている。同館内には新たに組み立て式のアルミ製防護壁が設置され、北側のガラス壁には防水処理が施されるほか、搬入出口やエントランスのドアも高耐圧耐水のものが使用される。また、1~2年に1度のペースで洪水対策訓練が行うわれる予定だという。これらに対して、同館は新たに約40億円の追加予算を組み、その半分の約20億円を防水対策費として用いる。今回の追加予算計上で、新ホイットニー美術館の建設プロジェクトの総費用は約760億円に上っている。

 

【関連リンク】

[現在通信 From NEW YORK] : 「サンディ」以後=富井玲子

The New York Times 「One Eye on Art, the Other on Water」

ホイットニー美術館 公式ウェブサイト

 


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