【森美術館】シンプルなかたち展:美はどこからくるのか

2015年04月27日 17:40 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

時空を越えた普遍的な美を描き出す

 

アンリ・マティス《「ジャズ」9 形態》1947年 ステンシル、紙 40.8 x 57.7 cm 所蔵:神奈川県立近代美術館

アンリ・マティス《「ジャズ」9 形態》1947年 ステンシル、紙 40.8 x 57.7 cm 所蔵:神奈川県立近代美術館

 

約4カ月にわたる工事期間を経て、4月25日(土)にリニューアルオープンする森美術館が記念展「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」を開催する。同展はポンピドゥー・センターの分館として2010年に開館したポンピドゥー・センター・メスがエルメス財団とコラボレーションした初の共同企画展であり、メスで開催された展覧会が日本へ巡回するのは今回が初。展示は森美術館のために再構成され、日本展独自の作品も出品される。キュレーターはジャン・ド・ロワジー(パレ・ド・トーキョー プレジデント)と南條史生(森美術館館長)。

 

19世紀から20世紀にかけて、ヨーロッパでは数学、機械工学、生物学、地質学や考古学の探求の中で「シンプルなかたち」の美学が再認識され、工業製品や建築のデザインなどに多大な影響を与えた。同様に、その品格ある魅力は多くのアーティスト達を魅了し、近代美術の多数の名作を生み出した。一方、このような単純で美しい「シンプルなかたち」は、自然の中や、世界各国のプリミティブアート、民俗芸術、伝統文化の中にも、数多く見出すことができる。日本においては、工芸品や茶道具、仏像や禅画などに同様の美学が体現されている。

 

杉本博司 《スペリオル湖、カスケイド川》 1995年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4 x 149.2 cm Courtesy: Gallery Koyanagi

杉本博司《スペリオル湖、カスケイド川》1995年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4 x 149.2 cm Courtesy: Gallery Koyanagi

 

今展では、このような古今東西の「シンプルなかたち」約130点を「形而上学的風景」「孤高の庵」「生成のかたち」など9つのセクションで構成。古くは先史時代の石器から、現代アーティストによるダイナミックで先鋭的なインスタレーションまで、地理的なひろがりと歴史的なつながりを示しながら展望し、時空を越えた普遍的な美を描き出す。また出品作はポンピドゥー・センターをはじめ、ピカソ美術館、ル・コルビュジエ財団などフランスの名だたる美術館・博物館から本邦初公開作品を含む名品が多数出品され、森美術館のための新作とともに展示を構成する。

 

■出品作家 ※姓のアルファベット順

ジャン・アルプ、エティエンヌ・ビオティ、カール・ブロスフェルト、コンスタンティン・ブランクーシ、ブラッサイ、長次郎、ル・コルビュジエ(コレクターとして出展)、マルク・クチュリエ、マルセル・ダッソー、アルブレヒト・デューラー、オラファー・エリアソン、円空、ルチオ・フォンタナ、スザンナ・フリッチャー、橋本平八、バーバラ・ヘップワース、池大雅、ジャン=バティスト・ロメ・ド・リール、アン・ヴェロニカ・ヤンセンズ、トーマス・ジェファーソン(発案者として出展)、アニッシュ・カプーア、エルズワース・ケリー、クー・ボンチャン、ジェルメーヌ・クルル、フランティシェク・クプカ、黒田泰蔵、李禹煥、ロバート・メイプルソープ、エティエンヌ=ジュール・マレー、アンリ・マティス、アンソニー・マッコール、ジョン・マクラッケン、ヘンリー・ムーア、パトリック・ヌー、カールステン・ニコライ、西川勝人、大巻伸嗣、岡田紅陽、岡崎和郎、ガブリエル・オロスコ、シャルロット・ペリアン、アントワーヌ・ペヴスナー、パブロ・ピカソ、マン・レイ、ロベール・ル・リコレ、メダルド・ロッソ、エマニュエル・ソーニエ、仙厓、雪舟、ホセ・マリア・シシリア、カール・シュトルーエ、杉本博司、田中信行、ヴォルフガング・ティルマンス、蔡佳葳(ツァイ・チャウエイ)、グザヴィエ・ヴェイヤン、ノット・ヴィタル

 

作者不詳《バード・ストーン》制作年不明 粘板岩 4.8 x 11.2 x 2.0 cm アーレンベルグ・コレクション、スイス

作者不詳《バード・ストーン》制作年不明 粘板岩 4.8 x 11.2 x 2.0 cm アーレンベルグ・コレクション、スイス

 

アンソニー・マッコール《円錐を描く線》1973年 映像インスタレーション サイズ可変 展示風景:ロシュシュアール現代美術館、2007年 撮影:Freddy Le Saux *参考図版

アンソニー・マッコール《円錐を描く線》1973年 映像インスタレーション サイズ可変 展示風景:ロシュシュアール現代美術館、2007年 撮影:Freddy Le Saux *参考図版

 

カールステン・ニコライ 《アンチ》 2004年 ポリプロピレン製軽量構造体、サウンドモジュール、テルミン・モジュール、トランスデューサー、アンプ、光吸収塗料 300 x 255 x 255 cm 展示風景:シルン美術館、フランクフルト/マイン、2005年 撮影:Uwe Walter Courtesy: Galerie EIGEN + ART, Berlin / Leipzig and The Pace Gallery

カールステン・ニコライ《アンチ》2004年
ポリプロピレン製軽量構造体、サウンドモジュール、テルミン・モジュール、トランスデューサー、アンプ、光吸収塗料
300 x 255 x 255 cm
展示風景:シルン美術館、フランクフルト/マイン、2005年
撮影:Uwe Walter
Courtesy: Galerie EIGEN + ART, Berlin / Leipzig and The Pace Gallery

 

仙厓《円相図》江戸時代後期(19世紀) 紙本墨画 37 x 49.4 cm 所蔵:福岡市美術館(石村コレクション)

仙厓《円相図》江戸時代後期(19世紀) 紙本墨画 37 x 49.4 cm 所蔵:福岡市美術館(石村コレクション)

 

【会期】2015年4月25日(土)~7月5日(日)

【会場】森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階) TEL03-5777-8600(ハローダイヤル)

【休館】会期中無休

【開館】10:00~22:00(火曜のみ17:00まで)

※4/25(土)は「六本木アートナイト2015」開催に伴い翌朝6:00まで

※ただし5/5(火・祝)は22:00まで

※入館は閉館時間の30分前まで

【料金】一般1,800円 学生(高校・大学生)1,200円 子供(4歳-中学生)600円 シニア(65歳以上)1,500円

※4月29日以降は、同展チケットで展望台 東京シティビューにも入館可

※スカイデッキへは別途料金が必要

【関連リンク】森美術館

 

■作品の展示替え

長次郎《まこも》藤田美術館蔵、大阪(展示期間:4/25-5/19)

長次郎《太夫黒》北村美術館蔵、京都(展示期間:5/20-7/5)

雪舟《漁樵問答図》公益財団法人 泉屋博古館蔵、京都(展示期間:4/25-6/2)

池大雅《梅花月図》京都府立総合資料館蔵(京都文化博物館管理)(展示期間:6/3-7/5)

仙厓《円相図》福岡市美術館蔵(展示期間:4/25-6/2)

仙厓《円相図》九州大学文学部蔵、福岡(展示期間:6/3-7/5)

《二月堂練行衆盤》個人蔵(展示期間:4/25-6/2)

《根来 足付折敷 五枚組》個人蔵(展示期間:6/3-7/5)

 


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