【福岡】 美のワンダーランド 十五人の京絵師

2012年08月07日 19:53 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

若冲・応挙・芦雪から幻の名作まで、圧巻の登場

畑靖紀(九州国立博物館主任研究員)

 

 

伊藤若冲  重文「仙人掌群鶏図襖」(大阪・西福寺蔵) 前期公開

今からおよそ200年前の京都では、独創性にあふれる、個性的な表現者たちが競い合うように作品を創り出していました。近世絵画の巨匠である与謝蕪村、池大雅や円山応挙、個性的な表現で関心をあつめる伊藤若冲、曾我蕭白や長沢芦雪。彼らに加えて近年では、渡辺始興や鶴沢派など伝統を受け継いだ正統派の画家たちも高い評価を受けています。本展では、この時代の京都を代表する15名の魅力的な絵師たちの優品をご紹介します。

 

明治30年(1897)に開館し、京都に関わる文化財を100年以上にわたり公開してきた京都国立博物館。その企画協力を得た本展では、国宝1件、重要文化財11件、重要美術品4件を含む総出陳件数49件のうち、32件が同館の所蔵品および寄託品です。所蔵品では四条派の祖・呉春(1725~1811)の詩情豊かな秀作である重文・柳鷺群禽図屏風(京博蔵、後期公開)など、寄託品では写生画の大家・円山応挙(1733~1795)の代表作である重文・雲龍図屏風(個人蔵、前期公開)をはじめ、重要文化財4件、重要美術品3件を含む京博のコレクションをまとめて楽しむまたとないチャンスです。

 

円山応挙 重文「雲龍図屏風」(個人蔵) 前期公開

また本展は、当館では久々の本格的な近世絵画展の特別展で、平成19年(2007)に30万人を動員し九州に一大ブームを巻き起こした特別展「プライスコレクション 若冲と江戸絵画」以来の企画となります。今回は、日本の文人画を大成した与謝蕪村(1716~1783)の重文・奥之細道図巻(京博蔵、通期公開・巻替あり)など、どの美術全集をみても必ず掲載されている巨匠たちの代表作が勢揃いです。

 

そのほか本展には、九州初公開の優品や、新発見の話題作も登場します。圧倒的な描写力を生かした個性的な表現で人気の高い伊藤若冲(1716~1800)が74歳で手がけた重文・仙人掌群鶏図襖(大阪・西福寺蔵、前期公開)は必見の九州初公開。もう一人の「奇想の画家」、曾我蕭白(1730~1781)の群童遊戯図屏風(九博蔵、後期公開)と月夜山水図(熊本・見性寺蔵、前期公開)は近年、当館が紹介し注目をあつめた作品です。

 

曾我蕭白 「群童遊戯図屏風」(九州国立博物館蔵) 後期公開

まさに百花繚乱たる日本絵画の豊かな世界との出会いは、私たちに新たな感動を呼び起こす絶好の機会となることでしょう。15人の京絵師を、どうぞお見逃しなく!

 

※出陳作品の公開期間について、本展では、前期・後期でほとんどの作品が入れ替わる大規模な展示替えを予定しています。また、期間限定公開として、一部の作品については週単位で展示替えを行ないます。どうぞご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

【会期】前期=2012年7月10日(火)~8月5日(日)、後期=2012年8月7日(火)~9月2日(日)

【会場】九州国立博物館3階特別展示室(福岡県太宰府市石坂4-7-2)

☎050-5542-8600

【休館】月曜、ただし8月13日開館 【開館時間】9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)

【料金】一般1300円 高大生1000円 小中生600円

【関連リンク】 「美のワンダーランド」特設ホームページ

 

「新美術新聞」2012年8月1・11日号(第1287号)1面より

 

 


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