【奈良】 三瀬夏之介 風土の記‐かぜつちのき‐

2014年04月08日 13:13 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

「風土の記」 272×1710cm パネル10枚組

 

1973年、万葉のふるさと・奈良に生まれた三瀬夏之介は、1999年に京都市立芸術大学大学院を修了。墨を中心とした日本画の素材・技法を用いながら、描いた紙を張り合わせるというコラージュ手法で、従来の「日本画」の枠を超えた表現を果敢に追求、注目を集めてきた。自らが居住する場所の歴史的・文化的背景に関する思考や幼少時の記憶などを投影し、様々なモチーフが複層的に配されたその作品は、ダイナミックかつ繊細で観る者はただただ圧倒される。これまで五島記念文化賞美術新人賞(2006年)やVOCA賞(2009年)、「第5回東山魁夷記念日経日本画大賞展」選考委員特別賞(2012年)など主要な美術賞を数々受賞。現在は東北芸術工科大学の准教授として後進指導にあたりながら、意欲的な創作活動を続けている。

 

昨年から今年にかけて青森、神奈川、宮城、静岡の美術館等で個展を開催。なかでも、戦後の新たな日本画表現を求めた秋野不矩の生誕105年記念として開催された「雨土の記」(浜松市秋野不矩美術館)では、自然が作り上げる日本の環境や風土を発想源とした大作を発表、秋野不矩40代の作品との時を超えた競演で来場者を魅了した。

 

「J」 2008年 第一生命保険株式会社所蔵                    「ぼくの神さま」 2007年 大原美術館所蔵

 

三瀬の故郷である奈良で開催される今展では、代表作「君主論‐Ⅱ Principe‐」、「ぼくの神さま」や、パブロ・ピカソの「ゲルニカ」からインスピレーションを受け、東日本大震災後に制作された大作「日本の絵」シリーズ、全長17mにおよぶ巨大なスケールで奈良を表現した新作「風土の記」など多様な作品で館の展示室を縦横に埋め尽くす。「日本画」というものに向き合い続ける三瀬ならではの視点と感性で表現される飛鳥、奈良、そして「日本」。歴史と芸術を交差させた現代の「風土の記」を楽しみたい。

 

新作「日本の絵~小盆地宇宙~」制作風景 撮影:瀬野広美(FLOT) 画像提供:イムラアートギャラリー

【会期】 2014年3月9日(日)~5月11日(日)

【会場】 奈良県立万葉文化館 (奈良県高市郡明日香村飛鳥10)

☎0744―54-1850

【休館】 月曜、祝日のとき翌日

【開館時間】 10:00~19:00(最終日のみ16:00まで)

【料金】 一般600円 大学・高校生500円 小中学生300円

 

【関連リンク】 奈良県立万葉文化館

 

 

 

 

 

 

「新美術新聞」2014年3月21日号(第1339号)1面より

 


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