【日本橋】 松浦安弘展 モロッコ~砂と海~

2013年09月02日 14:34 カテゴリ:新制作協会

 

「マガザンの海辺」 72.7×90.9㎝

イタリア、エジプト、フランスなど世界各地を取材し、その詩情を自らの作品へと昇華させてきた松浦安弘(1937年福岡県生まれ、武蔵野美術大学卒業、新制作協会会員)。今展は2004年以来、過去3度に渡ってモロッコを訪れ取材を重ねた集大成となる展覧会だ。松浦は今回100号の大作から小品まで、合わせて約40作品を出品。アトラス山脈や砂丘、そして海辺などモロッコの豊かな自然と、カスバや城塞、イヴ・サンローランの別荘にある蓮池など文化的な要素を色鮮やかに表現する。現地の人々との交流がもたらした親密な視線で、モロッコの魅力を余すところ無く伝える。

 

 

今展の開催に当たって―松浦氏の言葉

 

「ウダイアの城塞」 130.3×162.1㎝

その作家にしかできないこと、つまり「虚をもって実とする」ということを作品を通して静かに語りかけたい。そこにあるものを写真のように写し取るのではなく、自身の感性によって受け止めた対象そのものの存在の透明感(例えばベニスの運河の水が濁っていても、そこの水は本来透明で綺麗であること、つまりある種の美的理想)を大切に表現したい。

 

そういう仕事は濁りを磨いて透明に辿り着くという作為にはなるが、あたかも綺麗な水がそこにあるかのように、本来の元の姿に戻すような還元や浄化のような運びによって、つまり別の作為によって「虚をもって実とする」のである。もちろん光と影にも同様のアプローチで接する。現地、モロッコの地に立って自身の感性で受け止めた空気、砂漠、人との親睦・・・。

 

猪熊弦一郎先生(新制作協会創立会員)にはこう指導されたことがある。「たくさんデッサンすればするほど本質が見えてくる」と。例えば映画監督・フェデリコ・フェリーニのローマのセット。市街地で直接撮影すれば安上がりなのに、フェリーニはお金をかけてセットを造る。つまり、「造ることによって見えてくる、組み替えることによって見えてくるもの」が重要なのだ。

 

 

「アイト・ベン・ハドウ」 80.3×116.7㎝

「アイト・ベン・ハドウ」 80.3×116.7㎝

【会期】 2013年9月11日(水)~17日(火)

【会場】 日本橋三越本店本館6階 美術特選画廊 (東京都中央区日本橋室町1‐4‐1) ☎03‐3274-8465

【休廊】 無休

【開館時間】 10:00~19:00 (最終日は16:00まで)

【料金】 無料

【関連リンク】 三越の美術|日本橋三越本店

 

 

 

 


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