【大阪】 第5回 稜の会

2013年08月09日 10:32 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

笠井誠一「水差しのある卓上静物」65.2×90.9cm

笠井誠一「水差しのある卓上静物」65.2×90.9cm

“高みへ”

―立軌会同人12作家の競演

 

 

1949年に牛島憲之、須田寿らによって創立された美術団体「立軌会」。公募をせず、実力ある作家を新同人として迎えるスタイルを保ち、洋画壇において国内有数の質を誇ってきた。現在は東京都美術館を本展の会場とし、今年も秋の第66回展開催が待たれるところである(会期は10月13日~28日)。

 

「稜の会」は立軌会同人有志によるグループ展として、2009年に始まった。本年の出品作家は、赤堀尚、五百住乙人、大庭英治、笠井誠一、金子滇、久野和洋、栗原一郎、坂口紀良、志村節子、松田環、山田嘉彦、横森幹男の全12作家(50音順)。さまざまな作風に幅広い年代の作家たちが、洋画における多彩な可能性を見せてくれる。

 

五百住乙人「果実」31.8×40.9cm

五百住乙人「果実」31.8×40.9cm

立軌会を代表する作家のひとり笠井誠一(1932年北海道生まれ)は、一見すると落ち着いた美しい調和のみを掲出作に見てしまうが、水差しの持ち手と奥の器がわずかに交わる構成は、「これしかない」という強固な思想を思わせ、画面には緊張感も漂う。五百住乙人(25年東京生まれ)に目を転じれば、時流と隔絶し、どこか永遠性も思わせる作品世界を構築する。掲出の「果実」にも明らかなように、そこには、絵画でしかなしえない深々とした詩情を感じ取ることができるだろう。

 

会名の「稜」とは、「かど」「すみ」や、多面体において面と面が接触する場所などを意味する。美術団体でありながら、個性際立つ各作家のあり方を象徴していると言える。さらには、「稜線」という言葉も想起され、ときに孤独に、ときに仲間とともに、高みを目指す美術家の姿が浮かびあがるのだ。各作家、小品をふくむ2~3点を出品する。

 

【会期】 2013年8月14日(水)~20日(火)

【会場】 髙島屋大阪店6階美術画廊(大阪市中央区難波5-1-5)☎06―6631―1101

【休廊】 会期中無休

【料金】 無料

【巡回】 9月25日(水)~10月1日(火)髙島屋日本橋店6階美術画廊、10月16日(水)~22日(火)ジェイアール名古屋タカシマヤ10階美術画廊

【関連リンク】 髙島屋の美術

 

ギャラリートーク

【日時】 2013年9月28日(土) 15:00~

【会場】 髙島屋日本橋店6階美術画廊

 

「新美術新聞」2013年8月1・11日号(第1319号)1面より

 


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