【愛知】 島田章三と島田鮎子 ふたりで歩んだ50年

2012年12月07日 10:43 カテゴリ:国画会

 

絵の道を究めようと共に歩んだ50年

村上久美(メナード美術館学芸課長)

 

 

島田章三「花に水」 2012年 作家蔵

今秋、メナード美術館(愛知県小牧市)は、開館25周年を迎えることができました。その記念展として、ジャンルごとの5回に分けた「コレクション名作展」を一年間にわたり開催し、およそ1400点あるコレクションの中から選りすぐった300点ほどをご覧いただきます。

 

第1回目は「現代日本 1950―2012」。敗戦後の復興してゆく時期を始点に、今日に至る約60年間の日本美術界に焦点を当てたものです。この時期の日本画、洋画、工芸を代表する作家40人―東山魁夷、髙山辰雄、山口薫、香月泰男、大沼映夫、田渕俊夫など―による作品約50点で構成します。

 

まさに同時代を歩んできた洋画家に、島田章三と島田鮎子がいます。二人は1954年春、東京藝術大学美術学部油画科に入学、同級生として出会い、62年12月に結婚しました。このたびの結婚50年(金婚式)という記念すべき節目に、二人の充実した作品群を所蔵する当館では、「名作展Ⅰ 現代日本」の特集展示として「島田章三と島田鮎子 ふたりで歩んだ50年」を開催することにしました。

 

島田鮎子「初夏の円卓」 2012年 作家蔵

章三は生活の中に見出した人や物のかたちを力強く描き、鮎子はニュアンスのある色彩の中にかたちをつくり出す作風で、今日の具象絵画の世界に確かな存在感を示しています。今回の特集展示に出品される作品は、合わせて18点。決して画業を網羅できる数ではありませんが、学生時代に章三が鮎子をモデルに描いた初々しい雰囲気のデッサンから、今秋描き上げられたばかりの最新作に至るまで、それぞれの作風の変遷を概観しつつ、夫妻の作品を一度に鑑賞できる初めての機会になりました。なかでも章三「二人室内」(1980年)では、洋風のランプや卓上の器物がある室内でくつろぐ男女に、お洒落な夫妻の姿と暮らしを垣間見ることができます。

 

二人はともに国画会会員ですが、愛知県立芸術大学学長をはじめ多くの要職を歴任し、芸術院会員である章三に対し、鮎子は公職には就かず、個展での発表を中心として制作活動を続けてきました。画家としての活動スタイルが違うことでお互いを支え、同じ絵の道を究めようと共に歩んだこの50年は、出会って以来、人として、画家として、影響し合いつつ、互いを尊重する心の通い合いがあった二人だからこその道だったのだと思います。ここに、金婚式を心からお祝い申し上げ、これからの時間をお二人が存分に絵の制作に費やせるよう、お健やかでいていただきたいと願うばかりです。

 

島田章三(右)・鮎子夫妻 2009年 撮影:川島保彦

【会期】 2012年12月4日(火)~2013年2月17日(日)

【会場】 メナード美術館(愛知県小牧市小牧5-250)

☎0568-75-5787

【休館】 月曜、12月25日~2013年1月1日、1月15日、2月12日、ただし12月24日、1月14日、2月11日は開館

【料金】 一般800円 高大生600円 小中生300円

【関連リンク】 メナード美術館 公式ホームページ

 

※この特集展示には、島田夫妻のコレクション、ルネ・ラリックの香水瓶10点も展示されます。

 

「新美術新聞」2012年12月1日号(第1298号)1面より

 

 


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