[画材考] 洋画家:古河博章「絵を成り立たせるもの」

2021年10月13日 14:00 カテゴリ:コラム

 

制作時に使用する画材

制作時に使用する画材

 

私は色鉛筆画家ですが、「ハイブリッド色鉛筆画」というオリジナルの画法をもとに抽象的なモチーフや展示会場周辺の風景を描いてきました。この画法はモチーフから受けた印象を五感に分解し、各々の感覚に5つの画材を割り振って多面的に感覚の層を描くというもので、画材は蛍光ペン(視覚)、筆ペン(嗅覚)、透明クレヨン(聴覚)、パステル(味覚)、水彩色鉛筆(汚し)、油性色鉛筆(触覚)を順に使用します。当初は蛍光ペン(下地)と油性色鉛筆(仕上げ)2つの画材で描いていました。明るくフラットな色彩で画面を覆うことで密度の高い絵画を描くことができるのが魅力です。

 

描いている間は目の前の「工事」に黙々と集中しながらも、その時々の課題や気付きを楽しんでいます。作品が完成した後は撮影からフライヤーの印刷、個展での名簿管理、キャプションの翻訳、SNSでの情報発信など様々なタスクをこなし、作品を多くの方に見て頂けるよう心を砕きます。個展では一期一会を意識し、来ていただいた方の声や情報を何より大切にします。こうした絵を描く外側の視点も含めて、広く制作のうちと捉えることで、画業の進展につなげていきます。

 

これからの時代は、絵だけ描くのではなくその周りで成り立たせる要素を把握し、画家自らがマルチロールをこなしていくことが求められます。また他者と知見を共有し、美術関係者同士が共に支え合っていくことが大切だと感じています。

 

《谷中ぎんざ散歩》

《谷中ぎんざ散歩》

 

《都美夜景》

《都美夜景》

 

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古河 博章(ふるかわ・ひろあき)古河博章近影7(修正)

1980年埼玉県生まれ。東京都在住。アメリカ合衆国で5年間の幼少期の滞在経験から、現在に至る色彩感覚の影響を受ける。2009年より色鉛筆画家として活動開始。銀座、佐原、日本橋、谷根千などで毎年個展経験を重ねる。2022年2月8日~13日東京日本橋 Art Mallにて個展予定。

 

【関連リンク】古河博章ポートフォリオサイト

 


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