[フェイス21世紀]:飯田 文香〈日本画家〉

2020年12月17日 16:20 カテゴリ:コラム

 

”空を行く雲のように、川を流れる水のように”

 

横浜のアトリエにて(11月撮影)

横浜のアトリエにて(11月撮影)

 

飯田文香が絵を学び始めたのは11歳のとき。両親の勧めで通い始めた絵画教室の日本画家夫妻は、幼かった飯田に絵を描く楽しさと基本のデッサンに加えて、画家として生活するという一つの人生モデルを見せてくれた。

 

多摩美大を卒業し、個展、グループ展を中心に活動していた2017年、父の友人から一度パリへ来てみないかと誘いを受けた。願ってもない誘いに飯田は二つ返事で渡仏、3週間芸術の都に滞在し、憧れだったルーブル他多くの美術館へ足を運んだ。

 

印象派の本場で見る名作群は、日本で見たよりもその線、色彩がずっと身近に感じられ、自分も形を描く以外の手法で画面全体を動かすような流れを作ってみたいと思うようになる。その感情は新鮮なまま当時下絵段階だった作品《到来》へ。
「それまでは葉を一枚一枚描くような進み方で描いていたのですが、流したり、飛ばしたり、振りの大きな手法を試し、まとめていくようになりました」

 

過去から現在、そして未来へと続く大きな時間の流れを表現した《到来》。“流れ”というワードから連想される水を、湿潤な気候により鮮やかに色づく日本の植物を描くことで表し、実際には視覚で捉えられない時の流れを観者が画面で感じられるよう描いた。

 

幅7メートル、制作期間3年に及ぶ力作は今年第9回Artist Group―風―大作公募展で入選、あいおいニッセイ同和損保奨励賞を受賞。3年という月日が、1つの岸辺へ辿り着いた瞬間だった。

 

来年元日からは東京・参宮橋での個展が控えている。その後もグループ展が続き忙しくなりそうだ。「3年かけた作品を描き終えて燃え尽きそうになったけれど、そんな暇は無かったですね」と飯田は笑う。

 

止まることのない時の流れは彼女をどのような未来へと連れて行くのか。その先にある世界をいつか見てみたい。

(取材:牧口真和)

 
 

キ

《到来》2020年 200×700㎝ 第9回 Artist Group―風―大作公募展 あいおいニッセイ同和損保奨励賞

 
 

《巡る秋》

《巡る秋》2014年 182×364cm

 

《七変化》

《七変化》2020年 65.2×90.9㎝

 

《ここは明日の秘密基地》

《ここは明日の秘密基地》2017年 210×390cm

 

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飯田 文香(Iida Ayaka)

 

1990年神奈川県生まれ、2014年多摩美術大学日本画専攻卒業。2020年第9回 Artist Group―風―大作公募展 あいおいニッセイ同和損保奨励賞。2021年1月1日~17日ピカレスク(参宮橋)にて個展、1月20日~26日日本橋髙島屋にてArtist Group―風―小品展「花信風」出品予定。

 

【関連リンク】飯田文香

 


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